メニューの価格を上げたいな、と思った、一人美容室、個人美容室、飲食店の中で、
不安を感じない人はほとんどいないでしょう。
もしかしたら、お客様がどんどん離れるかもしれない
そんな不安と神経質に向き合わないといけないのがメニューの価格改定。
このことについて考えてみました。
そもそも価格ってなんだろう?
価格、価格とコトバで言いますが、そもそも価格ってどんな意味があるのでしょうか。
価格をあげるのには不安はつきものですが、それを取り除いてみると価格の正体がわかります。
まず、
価格とは店側が自由に決められるもの
であり、
その価格で来店するかどうかをお客様が自由に決められるもの
です。
つまり、
値付けは自由。
それで来るも、こないも自由。
だから基本の基本は、
一人美容室、個人美容室、飲食店を経営しているあなた自身が、
「うちの価格は●●円です!」
とハッキリ決めて、ハッキリ宣言してあげればいいのです。
実は、悩む必要なんて全くなものなのです。
けど、現実的には悩みます。
不安になります。
だって、
その価格のせいでお客様がこなくなるかも
ということが頭をよぎるから。
次は、感情論で考えてみます。
お客様の感情と価格の関係
そこでお客様の感情と価格についても考えないといけません。
お客様は
このお店のサービスや商品じゃなきゃ私はだめなのよ!
と身もだえるような状況であれば、
あなたがいくらの価格を提案したとしても
喜んで買ってくださいます。
逆に、
えー、その価格だったら、他に同じようなサービスでもっと安いところあるからそっちにいくわ・・・
という状態だったら、価格を高くした瞬間にお客様は離反。
きっとあなたのお店にはどちらのタイプのお客様もいるでしょう。
そして価格をあげることであなたを不安にさせるものは、後者のお客様が多いのでと思うから。
だから価格の話を考えるということは、
本質的には、
あなたの独自性、他店との差別化がどの程度されているのか、
ということについてしっかり考えないといけません。
あなただけが選ばれる理由を作ること
そこで必要なのがあなたが選べる理由を作り、言葉などでハッキリとお客様に伝えること。
全てのお客様にひとしく価値を提供するのは不可能!
映画の「君の名は」が出てくるまでは、
日本の映画の興業売上トップ3は、宮崎駿さん率いるジブリのアニメーションが
独占していました。
宮崎駿さんは、ひとつの作品をつくるときに、不特定多数の人にウケることをイメージするのではなく、
近所にすむ、Aちゃん、Bちゃん、といった近所の数人の子どもたちにウケることをイメージしてつくっていたそうです。
この人のためだけによいものを作ろう
と情熱を傾けてつくりあげたものは、その他の人の心も打ちます。
逆に、誰にでもウケるものを作ろうとやってしまうと、たったの一人にもウケないという罠にはまります。
あなたが接する全ての人に同じように通用するサービスがあるとすれば、
それは、実は、当たり障りのないサービスなんです。
つまり、他の店でもできちゃうサービス。
そうではなく、響くお客様をぎゅと絞り込んだサービスをすれば、
ぴったりスィートスポットにはまったお客様はもとより、
その周辺にいるお客様の心も打つわけです。
大多数の人に通用するサービスでうまくいくのは、
超大型店のやり方。
一人美容室、個人美容室、飲食店は、
ぎゅっとしぼっていくことなんです。
USPを生み出すのだ!
そのぎゅっとしぼりこんだ、
お客様があなただけを選ぶ理由をキャッチフレーズにしたものを
USPとマーケティング用語で言います。
このキャッチフレーズのつくり方は、
私のもうひとつのブログ「もうかるお店の科学式」に掲載しています。
こちらをご覧ください。
USPをつくってチラシ、リーフレットなどに明記して、
配ったりすると、集客の濃さがぐっと濃密になります。
お客様は別に絶対音感ならぬ絶対価格感をもっているわけではない
さて、そういうあなたのお店だけが選ばれる理由をつくり、そして価格をあげるのがベストです。
しかし、なかなかそこまで明確な差別化ポイントがつくれない、
ということもあるでしょう。
そうなると、価格アップはお手上げなのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。
絶対音感、ってありますよね。
何かの音がドレミファソラシドのどれなのか、聞いただけでパッとわかっちゃう音感を持っているひと。
すごいですよね。
けど、価格については、
あそこの店のカット料金は●●円だ!
と明確に覚えている人は少なくて、大体●●円くらいだよね、と結構あいまいです。
絶対価格感みたいなのを持っている人はほとんどいないということです。
お客様が持っているのは相場観ですね。
だいたい、あのお店だったら●円くらい払う感じだよね、
というもの。
そのあいまいさをちょっと使わせてもらうのです。
松屋のプレミアム牛丼方式
ちょっとおもしろいなと思った体験を。
妻と松屋に行きました。
彼女はプレミアム牛丼を選び、僕はナス炒めの定食かなにかを選びました。
食べていると妻はおもむろに言いました。
「ねぇ、プレミアム牛丼って食べたことある?おいしいよ」
妻は久しぶりの松屋のようですが、僕がたまにいきます。
当然、牛丼はたべるのでいいました。
「あるよ、だって牛丼のメニューはプレミアム牛丼しかないじゃん」
で、あれっ?と思ったんです。
本当にそうかな。
そしてネットで調べました。
すると、関東圏のお店では、プレミアム牛丼しかないとのこと。
それ以外の場所のお店では、店によって、普通の牛丼とプレミアムとふたつある。
もともと、プレミアム牛丼はなぜうまれたのか。
牛丼業界は一時期、270円とか280円とかでどのチェーン出して、
安すぎて自分たちの首を絞めていました。
どうにかして単価をあげなきゃと、
チルド肉を使ったプレミアム牛丼をつくり、
「こっちは380円です」
とメニュー展開。
お客様もプレミアムになれた段階で、普通の牛丼そのものを無くし、
いつのまにか牛丼は380円くらいが相場になった。
という、
いつのまにかうまいことメニュー改定をしているんですよね。
お客様の価格感は意外とあいまいなので、
こういうスライド方式をとることができます。
実際、コンサル先の理容室で、
客単価3900円くらいから、9カ月くらいで4400円くらいになったのですが、
それは今までのシャンプー・カット・シェーブを残したまま、
炭酸泉をつかったシャンプー・カット・シェーブのメニューを作って
最初は炭酸泉の良さをトークでアピールし、
そのつぎに、毎回のメンテナンスで炭酸泉をやることが大事なケアと教育し、
そして、いつのにかスタンダードが炭酸泉つき、という意識をお客様に落とし込んだ結果。
プレミアム牛丼方式をやったのです。
ただただ誠実に
しかし、上記のことは、すべてテクニックで単にやるとだめですよね。
自分のお店が儲けるためだけに価格をあげよう、という事ではないということ。
高単価にするということは、
それ以上の付加価値を生み出す努力をするということ。
そこに誠実にならないといけない。
それを言葉にしてお客様に浸透させる努力をするということ。
そこも誠実にやらないといけない。
結果として、
私のお店ではお客様にもっともっと喜んでもらいますよ
というお客様への宣言。
自己利益のためでなく、利他のため、ということが重要です。
一人美容室、個人美容室や飲食店では、上手に価値をつくり、
お客様煮よろこんでもらってメニュー価格をあげていく方向性でいきましょう。
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