一人美容室、個人美容室のロイヤルカスタマー戦略のために、とても重要なノウハウは次回予約です。
2017年11月から12月にかけて私のクライアントの美容室で次回予約を強化しました。
今までは、次回予約率が25%程度だったのですが、即座に51%に上がり、結果として12月には月の目標売上の達成に大きく寄与しました。
お帰りの際に、次の来店の予約をいれてもらえるか、そうでないか、で、リピーターの集客の安定度合いが全く違います。集客が安定すれば、日曜を定休日にすることだって可能かもしれません。
なぜ歯医者さんは当たり前のように次回予約をとれるのか
美容室に似ている業種を考えると、歯医者さんが参考になりそうです。
私も虫歯ができたびたび通います。
その日の治療が終わると、「では、次回のご予約ですが・・・」といたって普通に予約を促され、そして患者側も普通に予約していきます。
なぜなのでしょうか。それは・・・
虫歯で歯が痛いという症状の治療
だからです。
人の動機付けは2つのパターンがあります。
パターンA、不快を解決したい
パターンB、快楽を得たい
というものです。
困っていることをなんとかしたい、というのは強い要望です。
歯医者さんはそのお困りを解決してあげるから、患者さんは治療の提案に従います。
ここが美容室との違いです。
逆にいえば、そこを上手に抑えれば、高確率で次回予約につながります。
美容室にくるお客様のパターン
歯医者さんの場合は、ホワイトニングや定期メンテナンスでの歯石とりの人もいるでしょうが、虫歯や歯周病を治療をしたい人がかなりの割合を占めることでしょう。
しかし美容室はそうではないですよね。
パターン1、単に髪が伸びたから切りたい
男性のお客様に多いでしょうか。
髪の毛が伸びてくると邪魔だと思ってきますし、仕事などで支障がでることもあるでしょう。
ああ、伸びてきたな、そろそろ切りにいかないと
といった感じで美容室や理容室に行く、そんな感じです。
パターン2、美容室に行くこと自体がウキウキ
美容室で髪の毛をきれいにしたり、リラクセーションメニューを受けたりすること、スタッフさんと会話をすること自体をたのしみにしているお客様もいますね。
お店側からしても接客しがいのあるお客様です。
信頼関係があるので、次回予約も提案しやすいですね。
しかし、
「え~と、今、ちょっと予定がわからないのて、また連絡しますね!」
と予約確定までいかないことも多くあります。
パターン3、憧れのスタイルがあり、そんな風になりたい
芸能人やモデルのスタイルとかにあこがれて、あんなふうになりたい、と明確に要望をもっていらっしゃるお客様。
その日にそのスタイルにするのが難しく、2、3回と来店して憧れスタイルを作っていくのであれば、次回予約につながります。
パターン4、ハレの日があって素敵なスタイルにしたい
例えば自分自身の結婚式がある、友人の結婚式がある、などのライフイベントがあって、そこに向けて素敵になりたくていらっしゃるお客様。そのハレの日から逆算してのスタイルづくりになると次回予約は当たり前になります。
パターン5、髪の毛や頭皮に悩みやトラブルがあってなんとかしたい
髪の毛のクセがどうにも気になる、フケがかなりでる、薄毛になってきた、そういうお困りごとが明確にある場合です。
これは歯医者さんのバターンと一緒。
その問題を解決できる提案をできるのであれば、次回予約は当たり前です。
またこのパターンは、髪の毛や頭皮の悩みだけでなく、仕事でとても疲れている、などのライフスタイル上の悩みをなんとかしたい、となることもあります。
パターン6、ほかの美容室で嫌なことがあり、なんとかしたくて来店
たまにあるパターン。いつも言っている美容室で初めてパーマをかけてみたらチリチリになってしまった。それをなんとか補正したくて、藁をもすがる気持ちで来店。
こういうお客様はとても困っていらっしゃるので、しっかり解決してあげると、一生のお客様になります。
パターンのまとめ
上記のパターンを次回予約の取りやすさでまとめると下記のようになります。
不快/快楽パターン | 次回予約の取りやすさ | |
1、単に髪が伸びたから切りたい | どちらでもない | ×:難しい |
2、美容室に行くこと自体がウキウキ | 快楽獲得 | △:意外と難しい |
3、憧れのスタイルがあり、そんな風になりたい | 快楽獲得 | △:提案次第 |
4、ハレの日があって素敵なスタイルにしたい | 快楽獲得 | 〇:とりやすい |
5、髪の毛や頭皮に悩みやトラブルがあってなんとかしたい | 不快解消 | ◎:とりやすい |
6、ほかの美容室で嫌なことがあり、なんとかしたくて来店 | 不快解消 | ◎:とりやすい |
次回予約で最も大切な「カウンセリング」を考える
上記の6パターンを抑えたうえで、カウンセリングについて考えましょう。
シンプルに言えば、パターン5や6のように、
お悩み解決型
になれば、次回予約はとても簡単になるわけです。
カウンセリングの第一声は「今日はどうしますか?」で本当にいいの???
さて、多くの理美容師さんが、セット面に座ったお客様にかける第一声は、
「今日はどうしますか?」
「どのくらい切りますか?」
といったものになってはいませんか。
ここからの流れの弱点としては、
どんな髪型にするか、という表面的なヘアスタイルの話で終わってしまう
ことが多いことです。
まさに上記の1の「単に髪が伸びたから切る」に近い方向に美容師自らもっていってしまっています。
具体的にはこんなカウンセリングになりがちに・・・
「今日はどうしますか?」
「すこし短めにさっぱりしたいんですよね」
「かしこまりました。だったらこんな感じはどうですか(スタイルブックを見せながら提案)」
なぜ、そう思うんだろうか?と共感しよう
そこで重要なのが、お客様の言葉の背景にあることは何か?と考えることです。
どうして短くしたいのかな?
と思うことなのです。そしてそれを聞いてみること。
実際に、クライアントの美容室の店長さんは、
「なぜさっぱりさせたいのですか?」と聞いて、
「母親の介護が結構大変で・・・。髪の毛も邪魔になっちゃうし」
というお客様の本音を引き出したことがあります。
本当にちょっとしたことなのですが、その後の展開は全然変わります。
介護でお疲れなんですね(と共感してあげる)
そうなんですよね。寝る時間もなかなか取れなかったり。仕事もしてますから。
だったら美容室に来るときは自分の時間を取れてちょっとリフレッシュできますよね。
そうなの。だから私にとっては大事な時間なの。
今日のヘアスタイルですけど、介護や家事で邪魔にならない長さで、かつ、外出したときはちょっとアレンジしやすいようにこんなパーマかけてみるといいかもしれませんね。
あら、素敵ね。
それにヘッドスパで日ごろの疲れをぜひ癒してみてはどうでしょうか。
お願いするわ!
といった流れから、最終的に
今日のカットだと、大体7週間から8週間後くらいで気になってきますから、そのタイミングでまたいらしてくださいね。そして、また癒しのメニューもやっていきましょう。ちょっとしたご自身へのご褒美の時間ですので、次回のご予約を入れてしまってはどうてすか。
といった具合に自然の流れで予約までもっていくことも可能になってきます。
疲れているという解決したい課題を浮き彫りにできたために、「不快な状況を解決したい」というフックをかけることができています。
う~ん、なんか難しそう・・・と思うかもしれませんが、やることは実はカンタンです。
「なんで、〇〇にしたいと思うのですか?」
と聞くだけ。
お客様に関心をもっていれば自然と聞きたくなる質問なのです。
そうやって表面的なヘアスタイルの話ではなく、
どんなお悩みをもっているのか?それをどう解消するのか?
という深い展開にもっていくことができれば、確実に次回予約につながります。
医者のように診断してあげる
お悩み解決型をするためには、より専門的にお医者さんのように診断してあげることも大事なアプローチです。
知り合いの美容室に、元ラ●ザップのトレーナーさんがスパ専門スタッフとして入ってきたそうです。
やはり体や健康について詳しいからでしょうか、最初に頭皮の触診をして、ずばりと
「頭皮、すこしかたいですね」
などを診断してあげて、そこからスパの提案などをしているそうです。
私も知り合いの美容師さんでカットしてもらっているときに、
「望太郎さん、頭皮かたいですね。このままでと薄くなるリスクが増えますよ」
と指摘されたことがあります。
そのときに、頭皮マッサージを教えてもらって、それからシャンプーするたびに、教えてもらった通りに頭皮ケアしています。
そのおかげか、頭皮がやわらかくなってきたように思います。
専門家である理美容師さんはわかるが、お客様自身が気付いていない頭皮や毛髪の状態があります。
それを放置していると、将来的にかぶれたり、薄毛になったりするリスクがありそうだ、
というときに、きちんと伝えてあげることは重要です。
そして長期的によりよいスタイルをキープできるようにしてもらう。
だから定期的にマイクロスコープなどを使ってお医者さんのように診断していきましょう。
全てのお客様が悩んでいるわけではないのでは?
とはいえ、全てのお客様が悩んでいるわけではないですよね。
そのときは、
憧れのライフスタイル提案
に展開していきます。
上記の3のパターンですね。
そもそも髪型やファッションなどの外見にはすごいパワーがあります。
おおげさにいえば人生を変えるパワーです。
実際に、
美容師さんのおかげで私の人生は変わったわ、というお客様も少なくないでしょう。
私自身、思春期の頃、外見的なコンプレックスが強く、そのせいか、とても内向的な性格でした。
けど、少しはファッションやヘアスタイルを意識するようになり、ちょっとずつ、自分に自信がもてるようになり、人とのつながりに積極的になってきました。
そのおかげで今があります。
例えば、髪型ひとつで仕事上での信頼がグンと増してよい結果がでるかもしれません。
髪型を変えることで積極的になり、素敵なパートナー(彼や彼女)と結ばれるかもしれません。
どんな日々の喜びを手に入れたいのか、そういう方向でお客様とワクワクを共有し、ともに作り上げていく。
その未来から逆算してヘアスタイルをつくりあげるストーリーを提案するわけです。
そうすることによって、単に今日のヘアスタイルの話ではなく、半年、1年かけてこうなりましょう、というストーリーが描かれるわけですから、自然と次回予約につながります。
カウンセリングは何分間やるのが正解?
さて、ここまでくると、カウンセリングの時間がかなりかかるな、という印象ですよね。
けど、普段の営業ではどのくらいカウンセリングの時間をとっているでしょうか。
いや、とれるでしょうか?
3分間くらいカウンセリングしたとすれば、それは結構な時間をかけているのでは?
けど、3分間で悩みを引き出したり、憧れのライフスタイルの話を膨らませるのは、ちょっと難しい。
つまり、上記のことはわかっていてもできないことになってしまうかもしれません。
ここで、カウンセリングという概念を切り替えてしまいましょう。
先日、とても先進的な歯医者さんの話を聞きました。
その歯医者さんでは、初診のときにカウンセリングをする専門のスタッフさんがいらっしゃる。
そこで、カウンセリングブースでなんと30分間も話をするとのことなんです。
家族構成とかもちゃんと聞く。
家族の食生活とかも治療に影響を与えるから。
こういう歯医者さんですと安心して治療を受けられますね。
実はこれと同じことを理美容師さんもできるのです。
これもカンタンです。
カットなどの施術中にも雑談でなくカウンセリングをし続ける
ことです。
30分間、1時間と深い話をすることができます。
施術中の会話を意識していない理美容師さんも少なくありません。
お客様となんとなく雑談(食べ物や旅、テレビや芸能人の話)をしたりしてしまいます。
雑談も、お客様をリラックスさせるために意図的にするのであればいいのですが、なんとなくそれで終始してしまってはもったいないのです。
雑談自体は会話上、必要ですが、どこかで、ちゃんと専門家としての会話にもっていくことが大事です。
とくに、単に髪の毛を切りにきた、というパターン1のお客様には、
美容室は外見を変えることであなたの人生をよりよくするためのところですよ、
という意識改革をしてほしい。
施術中の話で、そういう教育をお客様にしていくわけです。
カウンセリングのまとめ
ここでお伝えしたカウンセリングを私は
魔法の6質問
と呼んでいます。
詳細な解説は下記のリンクからどうぞご覧ください。
顧客にリピートされる美容師のカンセリングトークは”魔法の6質問”が最強
次回予約の獲得力がグンとあがる目からウロコの180度逆の発想法
これは、ある意味、コロンブスの卵的な発想だなあ、と腑に落ちたことがあります。
クライアントの美容師さんがこういう意識でやったら次回予約率がポンと上がった、と教えてくれたのです。
それは、
お客様の予定を店側が押さえるのではなく、お客様が美容師の予定を押さえる
という発想です。
普通、次回予約をとるのは、お店側がお客様のスケジュールを押さえていく感覚がありませんか。
すると、すこしだけ、美容師さん側にも「お客様に無理強いしているのかな」と迷いがでます。
お客様側にも、「ちょっと押し付けられているかしら」と疑念がわくかもしれません。
けど、180度逆に考えるのです。
お抱えのスタイリストがいる芸能人とかスポーツ選手は、きっと、自分の都合に合わせてスタイリストの時間を押さえているのではないかと思います。
そんな考え方。
ちなみに私はこの発想を
セレブ予約
と呼んでいます(笑)
次回予約をしっかりとりきるテクニックを持つ
そして、カウンセリングをしっかりとした上で、次回予約を獲得するためにはすこしばかりテクニックが必要です。
それを紹介しましょう。
次回、次次回のスタイル提案・メンテナンス提案
カウンセリングからの流れで、最後に、次回・次々回のスタイル提案、メンテナンス提案を確実に行います。
当然ですが、次回につながる流れ・ストーリーをつくってあげることで次回予約が非常にスムーズになります。
絶対に省略することなく、実践していきましょう。
次回来店目安の合意をセット面で行う
そして、来店目安をきちんと伝えます。
このときに注意してほしいのは、
「つぎば2か月後くらいがいいですね」
と月単位で話さないことです。
これではぼやけてしまいます。
そうではなく、
「次は7週間後か8週間後くらいがいいですね」
としっかりと話します。
さらにセット面には必ず卓上カレンダーをおいておきましょう。
カレンダーを手に取り、
「ですので、1月21日から28日の間がベストですね」
と明確に提案します。
日程を確定させるダブルバインド
ここまでを丁寧にやったあとで、日程を提案します。
そのときに、次のパターンはNGです。
「で、次回予約をいれていただくといいなと思いますがいかがしますか?」
「そうですね、どうしようかしら」
「え~と、2月12日とか15日とかいかがでしょう?」
「そうねぇ・・・」
これだと、次回予約をするかどうかで判断を仰ぎ、日程の確定で判断を仰ぎ、と2回の判断をせまることになります。
当然、断られる可能性が高まります。
ですので、最初から、
「次回のご予約ですけど、2月12日とか15日とかでいかがでしょうか」
とシンプルに聞くだけでいいです。
2つの選択肢を提示し、そのどちらかを選んでいただくことを、ダブルバインドと言います。
それをトークに落とし込んでいるわけです。
キャンセルを防止する
次回のご予約をいただいてもキャンセルされては意味がありませんね。
ですので、しっかりとしたアフターフォローは必要です。
・お礼のおはがきを送る
・1か月後くらいにご様子伺いの連絡をする
・ご予約の1週間前にメールする
・ご予約の3日前(もしくは前日など)にメールする
この4点セットは丁寧にやるといいですね。
次回予約をいれてよかった!とお客様に思ってもらうこと
先ほどはテクニックの話に終始しました。
けど本質的に大事なのは、
お客様が次回の予約をしてよかった!と思うこと
ですよね。
だからこそ、しっかりと事前準備をしてお客様に最高のサービスを提供しましょう。
早めに予約をいれてもらう、ということは、それだけ準備の時間があるということ。
そのことをお客様にとってプラスにしていかないといけません。
最後に
次回予約というのは、とても大事なことです。
お客様にとってもよりよいサービスを受けることにつながりますし、本質的な「外見を整えることで人生を変える」につながってきます。理美容師さんサイドからみても、集客を安定させることもできます。
けど、そこに対して行動している理美容師さんは少数派。
ということは、ここをしっかり取り組めば、ほかの理美容師さんより頭ひとつふたつと抜きんでることになります。
ぜひ自分のモノに落とし込んでくださいませ!
というわけで、レッツ実践!