よいカウンセリングというものは、相手(お客様)が気付いてあげるようにもっていくものです。こちらから押しつけたりするのではなく、自分から考えてもらう感覚。とくに「お悩み」を聴くときに、「こうですよね」的な指摘をしてしまいがちです。けどそこは、お客様自身の口から言ってもらいたい。それだけで、押しつけてしまう人から親身に相談にのってくれる人になるわけです。
お客様に健全な危機感を持ってもらう
お客様の悩みを聴くときのポイントは健全な危機感です。なぜなら、ぜひ悩みを解決してほしいから。しかし危機感がないとそれを改善しようとしませんから、まず危機感を持ってもらわないいけません。それを上手にやっていくために最初に押さえてほしいのが、NGとGOODのパターンです。
NGは危機感の押しつけ
あなたは大学受験を控えた生徒だとします。それで先生が「きみね、今のままだと全然志望校に受かる見込みはないよ。ちゃんと勉強しているのか!サボっているんじゃないのか」と叱咤激励したとします。先生のことを尊敬しているのなら別ですが、そうでなければ、そうやって押しつけられても心は反発してしまうものです。それが危機感の押しつけ。ここはぐっとこらえないといけません。
GOODは危機感の気付き
理想は全く逆なのです。生徒の口から「先生、おれ、このままだとやばいですよね。志望校に合格できないですよね。最近、すこしさぼり気味でした。すみません」と言ってもらうことなのです。これが、危機感は気付いてもらうもの、という考え。自分で気付けば、自分で改善策を見つけるものです。そして行動をするのです。行動までつながらないと結果は変わりませんから。
オウム返しのテクニックを使う
危機感の気付きを与えるために必要なテクニックがオウム返しです。心理学のロジャース法で使うものです。簡単ですのでぜひやってみてください。具体的にいきましょう。例えば、お客様が、
「最近、つかれちゃって」
と言ってきたら、あなたはただ鏡のようにその言葉を返すのです。つまり
「疲れちゃっているんですね」
たったこれだけです。しかしこの一言できっとお客様はこうつなげてくるはずです。
「そうなのよ~、ホント、仕事が忙しいったらありゃしないのよ」
さらにお客様が自分から状況を深堀りしていってくれるのです。そうやって何度かやりとりをしていると、悩みを自分で深堀り、自分で危機感を覚えるのです。ここでやってはいけないのは、次のような危機感の押しつけです。
「あー、仕事が忙しいと肌も荒れちゃいますよね」
この一言は、押しつけ・指摘するのではなく、お客様から口に出してほしいのです。オウム返しをしていると自然と口に出してくれるように会話が展開します。
これは理解していることを相手に伝えることができるから相手が安心する。そこで心を開いてさらに話してくれる。話しているうちに自分で気付きを得る、というカウンセリングになっていくわけです。
オウム返し+質問を上手に使う
オウム返しだけだと会話が展開しないんじゃないかと不安になるかもしれませんね。そのときは+質問を意識するととてもスムーズになります。具体的にお伝えしましょう。「最近、つかれているのよね~」とお客様が口にしたら例えばこう返すのです。
「疲れちゃっているんですね~。睡眠は取れていますか?」
質問が加わることでお客様がそれに答えてくれます。そこでまたオウム返し+質問をしていけばいいわけです。
「そうなのよねぇ。寝るのも深夜になっちゃってねぇ。」
「深夜になっちゃうんですねぇ。22時~2時はあんまり寝てない感じですか」
「いつも1時くらいにベッドに入る感じだから」
「1時くらいなんですね。お肌の再生時間って知ってますか」
「知っているわ、それが22時から2時なんでしょ。私、やばいわね。肌も最近カサカサしている気がするもん」
といった形になります。
お悩みに対してお客様自身が深堀りしてくれれば、もう、カウンセリングは上手くいったも同然です。お客様はあなたに対して絶大な信頼を寄せてくれます。当然、その後の提案の親身さが変わってきます。ぜひオウム返し+質問でカウンセリングしてみてくださいませ。